専門学校の学生が学生生活のモチベーションを維持するために学級担任制度がとても重要だったお話をします。
学生が専門学校に入学するときは、次の目標を目指しています。
「専門知識と技術を学び資格を取得して就職すること」
つまり
社会に出て稼ぐためのスキルを身につけることです。
収入を得て生活するために、専門的な知識と技術を学び資格を取得して、
そのスキルを活かし就職することを目標にします。
専門学校の3つのセクション(部門)
専門学校はいくつかのセクション(部門)に分かれています。
今回は
学生生活に直接関係する次の3つのセクション(部門)を取りあげます。
- 教科担当教員部門
- 就職担当キャリアサポート部門
- 学級担任部門
まずは、授業に関する教科担当教員のお話から・・・。
学級担任制度がとても重要です!のお話は後で詳しく解説します。
教科担当教員は専門知識と技術を学ぶ授業を受け持ちます。
教科担当教員は、学生の資格取得に向けて授業を組み立て、学生の習熟レベルを確認しながら授業を進めています。
教科担当教員の業務ををわかりやすくリストにします。
教科担当の業務は
- 専門教科の授業を行う
- 学生の教科習熟度を確認する
- 成績と履修状況を管理する
- 資格取得のサポートをする
主な業務は上の4項目で、学生の専門知識や技術のスキルアップをサポートする業務です。詳しく解説しますね。
1.専門教科の授業を行う
専門教科の授業をするにはその教科の教員資格が必要です。
教員資格を持たない人が授業をしたら、それは授業になりません。
つまり、学生たちは授業を履修したことにならないので、履修不足で卒業できなくなります。
専門教科の教員資格は授業で最も重要なことです。
専門教科の授業は、座学の授業と実習の授業に分かれます。
座学の授業は専門教科の知識を整理して記憶し、その知識を応用展開させるための授業です。
実習の授業はまず基礎技能を習得します。つまり実習用具の使い方を繰り返しトレーニングして、正確に、そしてスピーディーに作業するための基礎技能を習得する授業です。
知識と技能を伝える授業はその教科の専門家にしかできない授業です。
教員資格について
専門教科の授業をするにはその教科の教員資格が必要なことはお話ししました。
教員資格の要件はそれぞれの教科で違っています。例えば美容学校の美容技術理論教科の授業を受け持つには、美容サロンでの実務経験や美容学校の助手経験を経たのちに、教員養成の研修受講が必要です。
介護福祉専門学校の介護関連教科の授業ができる教員資格は、医療関係者やその専門業務の経験者に限定されています。
このように専門教科の授業を行うには、実務経験が重要視されています。
その経験を学生に伝える。伝え方のプロが教員資格だと考えています。
2.学生の教科習熟度を確認する
資格取得試験に合格するために必要な教科を学生に伝えている教科担当教員は、学生の理解度と習熟度を確認しながら授業を進めています。
専門教科の授業はそのシラバスに沿って行われます。学生の理解度や習熟度の確認は1年次2年次の学期ごとに確認試験を実施しています。
習熟目標レベルに到達していない場合は、再度確認試験を行ないますが、合格しない場合は、卒業の要件を満たしていないことになり卒業延期になってしまうこともあります。
3.成績と履修状況を管理する
専門教科の確認試験の成績は、就職活動に必要です。
なぜなのか・・・?
それは、
企業の求人に応募する場合、求められる書類に「成績証明書」や「調査書」があります。
これらの書類には、成績と履修単位を記載する必要があり、教科担当教員は自分が担当する専門教科の成績と履修状況を管理して一人ひとりの記録をしています。
就職試験の書類選考ではこの「成績証明書」や「調査書」が選考の基準と比較され、採用不採用の基準です。
4.資格取得のサポートをする
次に資格取得のサポートですが、取得の方法は次のようにいくつかに分類されます。
資格の取得方法による分類
- 卒業したら取得できる資格
- 卒業後実務経験を積んだら取得できる資格
- 卒業したら受験資格が取得でき、試験合格したら取得できる資格
- 卒業後実務経験積んだら受験資格を取得でき、試験合格で取得できる資格
- 資格取得のための教育が受けられる(受験は各自が行う)
このように資格の取得方法にはいくつかのルートがありますが、これらの資格取得までのルートを熟知して、道案内するのが教科担当教員の業務です。
教科担当教員は、担当する専門教科の資格試験合格ラインや出題の傾向など、詳しく分析して学生一人ひとりの対策をたて対応します。
が!!
この 一人ひとりへの対策に時間を費やす教科担当教員は少なく、きめ細かな対応が望まれています。
【1.指定養成施設卒業したら取得できる資格】
- 栄養士
- 調理師
- 保育士
- 幼稚園教諭免許証・・・など
【2.指定要請施設卒業後に実務経験を積んで取得できる資格】
- 電気主任技術者・・・など
【3.指定養成施設卒業で受験資格があり、試験合格で取得できる資格】
- 美容師
- 管理栄養士
- 製菓衛生師
- 看護師・・・など
【4.卒業後実務経験積んだら受験資格を取得でき、試験合格で取得できる資格】
- 社会福祉士
- 精神保健福祉士・・・など
【5.資格取得のための教育が受けられる】
- CGクリエイター
- Webクリエイター能力検定試験・・・など
資格の種類による分類
- 国家資格
- 民間資格
国家資格
国家資格は法律に基づいて試験が行われます。
実際に試験を実施するのは、国家試験を業務委託された機関が行い、各省庁の大臣が認定します。
特定の職業でその業務に就くために必要な知識と技能の水準を各省庁が定めているのが国家資格です。
国家資格の種類による分類
■業務独占資格
その業務を行うために必ず取得しなければならない資格
医師・弁護士・公認会計士・看護師・美容師・・・など
■名称独占資格
資格がなくても業務に携われるが、名称を使用する場合は資格取得している者限定
社会福祉士・介護福祉士・調理師・栄養士・・・など
民間資格
民間の団体が技能や知識の水準を認定する資格です。
民間団体の財団法人、社団法人、NPO法人などが試験を実施していますが、関係する省庁が後援している資格もあります。
就職活動に関する業務はキャリアサポート(就職課)が受け持ちます。
学生は修得した知識と技能と資格を活かした職種に就くために、企業の求人に応募する就職活動をします。
就職活動をサポートするセクションがキャリアサポート(就職課)です。
キャリアサポートの業務は次のように学生に寄り添う業務です。
キャリアサポート(就職課)の業務は
- 就職活動をサポートする
- 求人票の整理閲覧準備をする
- 就職先企業との対応をする
- 職業適性アドバイスをする
- 応募書類作成のサポートをする
学生の就職活動をサポートする部門がキャリアサポートです。
いろいろな企業から届く求人票を取りまとめて学生に公開しています。
専門学校に届く求人票は専門学校の教科に関連する企業がほとんどです。なので、学生も関連する企業に多く応募しています。
1.就職活動をサポートする
企業の求人に大して学生は就職活動を行い、専門学校に入学すると同時に活動をスタートさせます。
就職活動は次のステップに沿って進めると効率よく就職につながります。
就職活動のステップ
- 企業情報の収集
- 職種の選定
- 企業説明会参加
- 応募先企業の選定
- 応募書類の作成
- 応募
- 採用試験
就職活動のステップについては別に詳しく説明しますが、企業の求人情報を収集していると正社員の求人が大半ですが、正社員以外の求人も含まれる場合があります。
正社員と正社員以外の違いを分かりやすく説明します。
正社員と正社員以外の違い
【正社員】
- 雇用期間が決められていない
- 労働時間はフルタイム
- 企業直接雇用
【正社員以外】
- 雇用期間が定められている労働者
【正社員以外の労働者の種類】
- 契約社員
- 嘱託社員
- 契約社員
- パートタイム労働者
- 臨時労働者
- 派遣労働者・・・など
正社員と正社員以外の大きな違いは、雇用期間が定められているかいないか、雇用形態の違いです。
企業が正社員以外の労働者を採用する理由
- 人件費など労務コストの削減
- 即戦力や専門業務対応の人材確保
- 高齢者再雇用
- 臨時業務、長時間操業、代替え業務の人材確保・・・など
【1.人件費など労務コスト削減】
正社員と正社員以外では直接的な賃金の開きがあり、労務コストにも差があります。
企業が利益を確保するために人件費や労務コストを見直して、正社員以外を雇用することでコスト削減を実施する場合があります。
【2.即戦力や専門業務対応の人材確保】
専門知識と技能を修得している人材は企業でも雇用を促進しています。
専門知識と技能を修得した社員の育成には時間とコストが必要になります。すでに技能と知識を身につけている人材は社員教育にかかるコストが削減がされるために、正社員以外の雇用など幅広く求人をおこなっています。
【3.高齢者再雇用】
定年を迎える社員は、企業に長く雇用されているため、専門業務や社内業務のスキルが高く、企業内の業務効率も高い場合が多いと言えます。
定年を迎える社員の再雇用は、社内業務の効率化と共に社員の収入安定を図ることが可能です。
【4.臨時業務、長時間操業、代替え業務の人材確保】
企業の作業量が季節で変化する場合や、臨時的な業務が必要になった場合に対応するため、期間限定の人材確保。
企業が長時間操業をする場合の人材増員や、社員が産休や育児休暇で代替え業務が必要になる場合などです。
就職先企業を選択する場合には、求人条件に正社員なのか正社員以外の採用なのか、社員の種類を確認することも重要です。
2.求人票の整理閲覧準備をする
企業から届く求人票は、企業独自の求人票、専門学校独自の専用求人票、ネット専用の求人票などいくつかの種類があります。
それらの求人票を整理して、学生に公開しますが、企業の情報が分かりやすいように分類や整理をします。
- 職種による分類
- 勤務場所による分類
- 五十音別の分類・・・など
これらの企業情報は学生の就職活動に重要なデータです。学生が検索しやすいように整理することが大切です。
3.就職先企業との対応をする
学生の求人をする企業が学校の訪問をすることは多く、それら企業の対応をキャリアサポート部門が受け持ちます。
企業各社が説明する特徴を収集整理して学生に公開し、求人情報の詳細精度を向上させるために大切な業務です。
4.職業適性のアドバイスをする
職種選択など、職業適性のアドバイスやサポートも重要な業務です。
職業の適性は検査をすれば客観的に可視化できます。多くの検査方法がありますが、大きく分類すると次の2種類があります。
職業適性検査とは
職業の適性を可視化するため、様々な手法を用いて検査しています。
検査は大きく分類して次の二つの検査があります。
【1.学生のパーソナリティから職業を選択する方法】
学生の「興味」「関心」などから職業を選択する検査です。
「好き」「嫌い」を基準にして職業との相性を見つめる検査です。
代表的なものに
- 職業レディネス・テスト
- VPI職業興味検査
などがあります。
【2.職業に必要な能力から職業を選択する方法】
二つ目は「知能」「学力」「技能」など学生の能力から職業を見つける検査です。
代表的なものに
- GATB一般職業適性検査
があります。
職業適性検査いついてはまた別の機会に詳しく解説しますね
5.応募書類作成のサポートをする
入社希望の企業を選択したら、入社するために就職活動を進めます。
入社希望の書類を作成して求人に応募をします。応募書類は企業よって多少違いはありますが、「履歴書」はどの企業も必須です。
この履歴書を作成するときに重要なポイントを指導して、読みやすい履歴書作りをサポートしています。
「履歴書」の作成方法はまた別の機会に詳しく解説しますね。
以上がキャリアサポートの大まかな業務です。
教科担当とキャリアサポートのどちらも専門学校では重要なセクションです。
専門学校ではこの2つのセクション以外に学級担任制度を設けている学校も多く、次では専門学校になぜ学級担任制度が大切なのかを説明します。
学級担任制度の大切さ
小学校、中学校では学級担任がクラスをまとめ学級運営をしています。
学級担任制度を設けている専門学校も多く、その業務と大切さを詳しく解説します。まず、学級担任の業務から
学級担任制度の業務
- 学生生活のサポートをする
- 学籍簿記録のサポートする
- 資格取得のサポートをする
- 就職活動のサポートをする
このように学級担任は、学生の入学から卒業まで、学生生活、資格取得、就職に深く関わることが多い業務です。また専門教科の教科担当と並行して業務を受け持つことも多く。学生との関わりは入学時のオリエンテーションからスタートします。
1.学生生活サポート
入学から卒業までの間、学生の登校途中から下校して自宅に帰り着くまでを学生生活の1日と考えて、授業以外で学生の生活をサポートすることです。
例えば、健康管理、通学途中や学校内での事故やトラブル、授業料などの学費に関することなど、在学中のあらゆる事項の相談を受けることをしています。
学校内には学生の相談を受け付ける専門のセクションもありますが、身近な学級担任が学生ケアの最初のステップを受け持つことで学生も相談しやすく問題解決が早まる効果があります。
学級担任は学生の情報を細かく把握する必要があります。
学級担任制度は学生情報の共有量と共有スピードが重要です。この情報共有がスムーズに進まない場合は学級担任制度の担当者は業務遂行が困難になってしまいます。
専門学校で学級担任制度を採用する場合は、担当者の選任も大切ですが、学生の情報共有が最重要だと感じています。
2.学籍簿記録のサポート
学籍簿」と呼ばれている書類は現在「指導要録」に変わっています。
指導要録に記載される項目は次の内容です。
- 学籍に関する記録
- 学年・学級・整理番号
- 名前・生年月日・現住所・性別・保護者の名前
- 入学・編入・転学・退学の記録
- 卒業の記録
- 入学前の経歴
- 卒業後の進路
- 学校名・所在地
- 校長名・学級担任名
- 指導に関する記録
- 名前・学校名・学級・整理番号
- 各教科の学習の記録・評定の記録
- 各教科の履修時間・履修済の記録
- 特別活動・行動の記録
- 出欠の記録
- 進路指導の記録
- 総合所見
指導要録の項目を記録する場合は、教科担当やキャリアサポートが記録可能な項目も多くありますが、学生生活を把握していないと記録できない項目もあり、学級担任が学生の状況を細かく把握する必要があります。
学生の基本情報は学生課、就職課、教科担当、学級担任と共有して常に新い情報に更新することが重要です。
3.資格取得のサポート
専門学校入学の目的の一つが資格試験に合格して資格の取得です。
学生は試験の合格に向けた対策を細かく計画して受験に向かいます。
具体的には受験教科の学習と実技の習熟訓練に時間を費やしますが、試験の内容や合格のポイントなど、試験いついて熟知した担当者のサポートが重要です。
この担当者の業務を学級担任が受け持つと学生一人ひとりのに沿った的確なサポートを行うことができ、学生も安心して受験準備のモチベーションを維持できるようです。
学生の日常の様子を把握している学級担任は、学生のモチベーション維持に有効な業務です。
4.就職活動のサポート
資格を取得してその資格を有効活用できる職場に就職することが学生の目標ですが、就職は企業の求人と応募した学生のマッチングが大切だと思っています。
企業の求人情報や業績などはキャリアサポートの部門で十分知ることができます。だが、学生の特性をよく把握している学級担任が第三者の目で冷静に見極めることも重要だと考えています。
学生と企業のマッチングは重要です。学生の頑張りや意欲が企業との関係に大きく影響していると思いますが、仕事を続けていくには職場の環境も重要な要因です。
学生個人の特性を把握している学級担任と学生が企業情報を共有し就職活動を進めることはとても有効な方法です。
まとめ
学生一人ひとりの特性を把握して学生生活をサポートする学級担任制度は学生満足度が向上する有効な制度です。
専門学校の目的は学則に記載してあるように関連する法規に基づき有能な職業人を育成することです。
学生一人ひとりに寄り添いながら成長をサポートできる学級担任制度の活用は、専門学校の教育効果を高め、学生満足度も高まる効果的な制度だと言えます。
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